#01

大好きなことを見つけて、毎日楽しく、大好きなことに没頭することで人生を明るく楽しいものに

FC東京 森重真人
ー とにかくサッカーが大好きで、毎日ひたすらボールに触れていた小学生時代~

兄が通うサッカースクールについていったり、公園でボールを蹴ったり。本格的にサッカーを始めたのは8歳のころ。学校から帰ってきてスクールに通って1時間半ほど、練習のない日も常にボールに触れることが日常でした。当時はフォワードでプレーしていて、毎試合ゴールを決めていたし、試合に負けた記憶もあまりありません。甲陽地区には5つの小学校が参加するリーグ戦があって、MVPと得点王は必ず僕でしたし、飛びぬけてうまかったと思います。いつも「俺が一番うまい」と言い聞かせながらプレーしていたのと、とにかくサッカーが大好きで、ひとりでも壁に向かってボールを蹴ったり、ドリブルしたり。自然と、特に意識することなく楽しく、毎日の繰り返し、積み重ねができて、結果として上達していったのかもしれませんね。レベルの高いリーグ戦があったこと、保護者の協力、いい指導者に出会えるなど、恵まれた環境、条件がそろっていたことも感謝したいですけど、とにかく「誰よりも練習する」ことが大事だと思います。僕はただただサッカーが大好きなだけでしたけど、意識的にライバルよりもたくさん練習することは、習慣として持っておいて損はないと思いますね。

ー 感謝すること、「継続は力なり」、サッカーにとどまらない、人間的成長を促す貴重な言葉の数々~

高校に入学した当時、3年生の吉弘選手(現在は引退)が広島に入ることが決まっていて、「かっこいい、俺もいつかは…」と思ったのが初めてプロを意識したタイミングですね。当時は広島のユースに上がれなくて、高校に進学。気持ちをあらたに努力を重ねて、選手権で活躍できたこともプロへの道が開けていった要因だったと思います。「感謝」することの大切さを教えられ、気づき、サッカーを通して人間的に成長できたことも大きかったと思います。体育の先生からいただいた「継続は力なり」という言葉は今でも僕の座右の銘。以降のサッカー人生が好転していったのは間違いなく、この言葉があったからだと思っています。自分の課題を認識して、自分なりに考えて努力して、あきらめずに続けて、あらたな気づきを得ながら、そして失敗や成功体験を積み重ねて。心が折れそうになることもありますし、努力して継続しても、自分が思い描く理想の成果を手に入れられないこともある。でもその代わり「成長」を実感できます。(成長の)積み重ねによって人生を切り開いていけるんだと僕は信じています。

ー 気配り、気遣い、キャプテンを務めることで人としての成長を

FC東京では長らくキャプテンを任され、当時は試行錯誤しながらの毎日でしたが、そのとき僕が大事にしていたのは「チームを客観的に見ること」。チーム全体の士気が上がらないときは積極的に自分から声を出したり、落ち込んでいる選手がいたら、意識的に声をかけてあげたり。目配り、気配り、心配りをして全体を客観視して、率先して行動することを特に大事にしていました。余談ですが、ワールドカップの代表選考から漏れたとき、僕の代わりに選ばれた(昌子)源(げん)に、こちらから声をかけてあげられたのも、日ごろからキャプテンとして、周囲への気配りを意識していたからこそできたことだったように感じています。彼が出場した方がチームにとってもプラスだったと謙虚に思えたことも、自分自身の成長を実感した瞬間でした。

今年でプロ14年目を迎えました。サッカーに情熱をささげ続けた時間でもありました。僕よりもうまい人はたくさんいたけど、プロになれない人や、プロになっても途中で脱落していく人を何人も見てきました。今思えば「本気でサッカーと向き合えるかどうか」その意識や熱量が誰よりも高かったと自負しています。周りのサポートに恵まれたことも大きかったのですが、プロになる、成功する、という強い思いと、いろんなことを犠牲にして、誘惑に負けずにがんばってきたことが今につながっていると思っています。でも本質的なことをいうと、僕の場合「サッカーが大好き」という思いが根底にあって、単純に好きなことをやり続けて、結果として今がある、とも言えるかもしれませんね。サッカーであれ、野球であれ、スマホゲームでもいい。なんでもいいので好きなことに没頭して、うまくなるために一生懸命になることが大事なんじゃないかと。子どもたちとのサッカー教室では、よくそんな話をしています。夢を持って、目標を持って、夢中になれるものを見つけて、僕が幼いころの環境や保護者や指導者のように、周りが教えてあげることや、手を差し伸べてあげることも大事ですよね。毎日大好きなことに没頭して、努力している感覚もなく、気づいたらすごいことができていた、っていう生き方をしてほしい。主体的に、人生を切り開いていけるような、子どもたちにはそんな生き方をしてほしいと思っています。僕もまだまだ、もっと成長できると信じて、これからもがんばります!

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